Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

      “秋の始まり?”
 


今年は特に長かった印象の強い夏も終わって、
心機一転、新学期が始まっても、
夏の間と同じノリにて、
あちこちで雨風が大暴れしたお天気の乱れようで。

 「まあ、何も
  九月の頭できっちり線を引いたみたいに、
  季節がごろっと切り替わるってもんじゃ
  ないんだけどもな。」

 「そんでもさぁ。」

ヒル魔くんが言いたいことは 瀬那にもよく判る。
まだ八月中だった頃合いに、
大雨に洗われたか ぐんと涼しくなった何日かがあって。
ああ秋が来ましたねぇなんて、大人の人たちも言ってたし。
そのくらいから、朝と晩は涼しくなったとも思うけど。
七月中は梅雨前線がなかなか退かなかった天気図を
そのまま彷彿とさせるよに。
今度は秋雨前線がはやばやと現れての、
で〜んと居座ってる列島で。
しかもそこへ台風が引っ付いて来たもんだから、

 「大雨が降って床の上まで水が来たり、
  土砂崩れで道が塞がったり、
  そんなして大変なトコに比べたら。
  昼間が凄げぇ暑いくらい、何てことねぇだろが。」

 「う〜〜〜〜。」

金髪で色白でお元気でカッコよくて、
まるでアニメのヒーローみたいに
お勉強も運動も、遊びも“なぜなぜなぁに?”も、
何でも頼れる同い年のお友達は、
だけども、時々大人みたいなこと言って、
子供心を判ってくれないのが ゆいつの困ったトコだったりし。
夏休みの終わりごろから、ちょみっとずつ涼しくなったので、
ああこのまま涼しくなるんだ、良かったぁと思ってたのにね。
新学期が始まったのと同時くらいに
嘘だよ〜んって軽々しいノリで、猛暑が復活してくれて。
それも学校が始まった途端というのが、
特に憎々しいったらありゃしない…と。
そう思わない?という方向でお話を振ったのにね。

 “ママと同んなじこと ゆーんだもの。”

そしてこれって、
もしかせずとも進さんも同じことを言いそうで。

 “ふややん…。”

今日はその進さんが迎えに来てくれるとゆっていたので、
お昼過ぎても教室に居残ってたセナだったのへ、
付き合いよく、一緒に居てくれるヒル魔くんなのだけど。
どうじょーしてくんないのが冷たいなぁと、
机へへちゃり、やわやわの頬っぺをくっつけて、
小さいセナくん、沈没中。

 “どうせ すぐんでも涼しくなんのによ。”

まだ授業は半分だし、例年の習いで言えば、
運動会までは練習があるから、
お勉強の時間も半分のままだろし…というの。
言ってあげるのも面倒なので、
そこは進か桜庭に取っといてやろうと、
寛大にも構えた子悪魔様。
ちみっとお行儀は悪いが、
机に腰掛け、足をぶらぶらさせつつ、

 「こんくらいでメゲてたら、
  大学リーグの応援なんか出来ねぇぞ。」

 「あ…。」

何げない口調でそうと告げた子ヒル魔くん。
こうするだけで、
大丈夫なちびさんだって、ちゃあんと知ってるものね。

 “ホント言うと、
  ライバルチームの肝を掴んでる奴なんだから、
  こんなフォローしてやる義理もねぇんだが。”

まあ、まだ直接対決の場があるでなし。
今はツケにしといてやるさと、
溌剌とした力みに張った切れ長のお眸々を、
今だけ やんわりたわめつつ。
実は坊やも大好きなお兄さんのお迎えを待ちながら、
もうそろそろ秋色になっても良いんじゃねと見上げる、
ちょっぴり高い空の中。
つ・つーいと 小さなトンボが泳いでいった。





     〜Fine〜  13.09.08.


  *書いてるうちに東京も何とか涼しくなったそうで、
   ちょっと外しましたね、うんうん。
   でも本当に今年は、
   各地で暑さや雨の度合いがばらばらで、
   こんな足並み揃わないのって珍しいんじゃなかろうか。
   北海道や東北や北陸、山陰や九州の人は、
   雨が多くて寒かったって思い返すのかも知れず、
   中部や関西の人は
   何言ってんの歴史に残る酷暑だったじゃないと言い、
   関東の人は
   確かに暑かったけど、
   それ以上に風が凄かったよ風がと思い出すのかなぁ…。


めーるふぉーむvv
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